雇用、貨幣および公共事業の一般研究
第11章 完全雇用
日本国憲法第22条第1項を修正する。
- 修正前
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。 - 修正後
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転の自由を有する。
雇用は国家が管理する。これにより完全雇用が実現され、雇用不安、社会不安を払拭することができる。
日本国は将来にわたって安心な生活環境が保証されるのである。
これまでさまざまな独裁者が階級闘争をなくし労働者の完全雇用をめざして社会主義革命を実施した。
しかし、1990年のソ連崩壊を例に見ればわかる通り、社会主義体制では労働者のやる気や生産性の問題から、残念ながらこれまでは十分に機能しなかった。ところが、技術の進歩により、生産性の問題が解消され、社会主義体制の完全雇用が実現できるのである。
新しい雇用対策。
1.就職したい者は、くじ引きで国家が就職先を割り当てる。
2.就職先での労働が合わないと思うものは、本人の意思で自由に転職できる。(もう一度くじ引きを行う)
3.転職ばかりすることを防ぐために、最低1年は就労を継続しなくてはならない。
4.育児休暇や、長期休暇、自給自足など、本人の意思で就労しない場合も認められる。
これまで、国家が雇用をコントロールした場合、次の2点が重要な問題となる。
1.自分のやりたい仕事ができない場合、仕事に対してやる気が起きない。
2.仕事で一生懸命がんばっても、評価されないため努力しなくなる。
上記の問題のため、生産性が下がり、結果として商品やサービスの生産コストが上昇し品質も下がる。
これが社会主義体制の経済停滞の一因である。
ところが、労働のノウハウが蓄積され、技術が十分に進歩することにより、労働者の能力や、個性、やる気が生産性に寄与しなくなっている.
つまり商品やサービスの品質が、その労働者に影響されることなく生産できるのである。そのための例をいくつか考える。
第1に、ファーストフードの店員を考える。これらの職場ではほとんどの作業がマニュアル化されている。重要な商品である食品は、材料はセンターから送られてきて、調理はマニュアルどおり器械を操作するだけである。さらに接客やトラブル対応も、すべてマニュアル化されているため、そのとおり仕事をすれば問題ない。
つまり商品の品質に個人の能力は問題ない、やる気も関係ない、与えられたマニュアルどおりに仕事をするだけである。もちろんマニュアルどおりの作業ができない場合は、労働者として不適切であるが、それでもやる気や能力とはほとんど関係ない。
第2に医療分野を考える。AI(人工知能)は、私達の予想を遥かに超えるスピードで進歩している。すでにチェスや囲碁の分野では人間はAIに勝てなくなっている。複数の食材を指定すれば、オリジナルのレシピを考えてくれるAIも存在する。CTスキャンデータやMRIのデータから、がんを発見するAIが研究されている。人間の医者の発見率とほとんど同じ確率でがんを発見できる。こうなれば、初期段階では高度な能力をもった医者の出番はない。労働者がマニュアルにそってCTスキャンやMRIを操作して患者の生体データを取得すればよい。投薬だけの治療であれば、AIの指示にしたがって薬を提供するだけですむ。あと数年で、手術も自動でおこなうロボットも実現するだろう。現在でも遠隔で手術をおこなう装置はすでに実用化されている。このように医療分野でも、きちんとマニュアル通りの仕事ができれば、大半の病気は普通の労働者で対応可能である。
第3に法務分野を考える。すでにイギリスでは、駐車違反の異議申し立てをする弁護士AIが実用化されている。
簡単な操作で、理不尽な駐車取り締まりに対する不服申し立ての嘆願書作成してもらえるサービスで、わずか21カ月で25万件の利用数があり、16万件もの違反切符の撤回に成功している。簡単な法務手続きであれば、もう弁護士や行政書士は必要ない。
第4に農業分野を考える。すでにGPSを搭載したトラクターが稼働し、全自動もしくは、部屋の中でゲーム感覚操作して畑を耕すことができる。さらにドローンをつかって農薬や肥料をまくこともできる。これまでのように、外にで汗をかきながら炎天下で農業をやる時代は終わりつつある。オフィスの中でリモートでトラクターやドローンを操作できれば、農業ができるのである。
第5に林業分野を考える。より強力などローンを開発することにより森の中に行かなくても林業が可能になる。すで北欧では大型ドローンにチェーンソーを搭載し、遠隔で伐採ができるようになっている。危険な作業を行うことなく、オフィスのなかで森の管理を行うことができるようになってくる。
これらの例のように、ノウハウを蓄積したマニュアル化と高度に発達したAIとドローンにより、労働環境は激変する。
マニュアル通り仕事を行い、そうでなければAIの指示をうけ業務を行う。肉体労働はドローンの操作で代用する。もう個人の技量は必要ない。必要なのは、マニュアルを理解できて、そのとおり作業する能力だけである。
将来の雇用環境は、おおまかにみて3種類に集約されるだろう。ひとつは、AIの深層学習やドローンのメンテナンスを行う技術者、次に文学や音楽のような芸術に属するアーティスト、そして最後は、それ以外の大多数である。
現在の日本の労働環境は雇用主からみると、すでに個人の能力は期待されていない。
ブラック企業や過労死という日本固有の現象は、個人の能力ではなく上司の指示どおり動く奴隷労働を歓迎していることを示している。
アメリカの調査会社の発表によると、日本の会社員で熱意のある社員は6%で、やる気のない社員は70%である。もう仕事は単なる「やらされる作業」と化している。そのような状況で日本の産業がなりたっているのであれば、個人の能力は、最終的な商品の品質やサービスにあまり影響していないという傍証である。
すでに日本経済は、個人の能力を必要としていない。であれば、あとは冒頭で述べたとおり、憲法を改正するだけである。
これだけで、高品質な商品と完全雇用による不安のない将来を手に入れることができるのである。
高度に発達した技術により、労働者としての能力は商品やサービスのための必要条件ではなくなり完全雇用は夢ではなくなった。
レーニンや毛沢東は生まれるのが100年早かった。彼らの理想はこれから実現するのである。