日本国の少子化が経済および国家の負担となることを防ぎ、出生率を改善し適切なる人口構成を実現するための穏健なる提案。

この国の都市を歩けば、近代的な建物が溢れ、大勢の人々が整然と行き交い、先進国としてふさわしい光景が広がっている。
しかし、ひとたび郊外や田舎に行けば、その様相は一変する。シャッターが閉じたままの不気味な商店街、物静かでだれと話すともなく歩いている高齢者。どこを見回しても、若者の活気ある声、子どもたちの元気な遊ぶ声が聞こえない。

少しでも、この国の現実を理解できる人であれば、以下のことに同意してもらえるだろう。
日本国は、2010年をピークに人口減少社会に突入している。2060年には、日本国の人口は現在の半分になる。さらに年齢別人口比をみれば、現在4人に1人が高齢者であり、2050年には2.5人に1人が高齢者となる。このことは、国家体制を維持することを困難にする多くの問題をひこおこす。それゆえ、人口減少を食い止め、公正で安価で、簡単に実行できる方策を発見した人物がいるならば、その者は、素晴らしい功績をたてた人であるから、国家の保護者として銅像を設置するに値するであろう。

だが私の目的は、ただ単に子供を増やして少子化を食い止めることにとどまらない、より広義の目的は、貧富の格差を是正し、より公平な社会を実現することにある。

私は数年間、この重要な問題について思いを巡らし、他の方々の、様々な少子化対策の政策を慎重に分析していった。
子ども手当や、働き方改革等、どれも多くの財源を必要とし、国民に新たな税負担をかける割には効果は限定的である。
単に人口を増やすだけなら移民や難民を受け入れればよい。だが、日本が単一民族だと勘違いしている人や、日本人は優秀で外国人は悪い人が多いなどという偏見を持っている人には受け入れがたいであろう。

私の提案は、子供を成長させるための費用を富裕層に負担してもらうというものである。この提案を実行すれば、子供の養育費を全く気にすることなく子供を出産でき、国庫に新たな財源負担をかけることなく、数万人規模で子供の数を増やすことができるのだ。

私の提案には、もうひとつの大きな利点がある。それは、子供の貧困の問題も解決できるということである。親が貧困層の場合、子供に十分な教育を受けさせることができず貧困が連鎖する。だから、単に子供の数を増やすだけでは、貧困を増産するだけであり、1720年のアイルランドのような物乞いの国になってしまう。

まず我が国の現状を整理する。保険会社の調査によれば、資産1億円以上を富裕層、資産5000万円以上1億未満を準富裕層と定義する。2015年現在、富裕層の数はおよそ120万世帯、準富裕層は300万世帯になる。つまり日本国には、資産が5000万円以上ある人がおよそ420万世帯にのぼる。また、子供が生まれ、大人になるまでにかかる養育費は、およそ2000万円、大学卒業まで考慮すると平均3000万円もあれば十分である。

そこで、私は謹んで以下の施策を提案する。おそらく誰も異議は無いものと思われる。

資産2000万円以上をもつ富裕層には、2000万円毎に、妻を娶り子供を産むことを合法とする。例えば、資産1億円を持つ富裕層は、通常の婚姻に加え5人まで婚姻が可能となる。もちろん婚姻した女性、その子供は、財産、権利等、すべて平等に扱うことを基本とする。

私の提案により、420万世帯の富裕層の1割が新たに婚姻をなし子供を産むと計算すると、42万人の子供の数を上澄みできる。2016年に日本国で生まれた子供の数は100万人を切り、97万人である。死亡数は130万人である。つまり人口の自然減は1年間で33万人である。富裕層が新たに作った子供の数を入れると、1年間の子供の数は、97万人に42万人を足して139万人。死亡数は130万人であるから、9万人の自然増とすることができる。

本提案により、国家の財源を使うことなく、人口は33万人減少から9万人増加へ転ずることが可能である。

ところで、最近になって真の愛国者として尊敬される人物から、私の提案をより良くするためのアイデアをいただいた。
彼が言うには、富裕層は、その財産をできるだけ多く子孫に残したいという欲求をもっている。だからたくさんの女性と結婚したいという欲求だけでなく、その相続の欲求をも満たすようにすれば、よりよい提案になるという。つまり5人以上の婚姻をして他界した場合は、相続税をゼロにすればよいとのこと。このようにすれば相続税対策のため、できるだけ婚姻しておこうというインセンティブが働くというのである。

もちろん相続税をゼロにすれば、国庫収入は減ることになるが、相続税は税収全体の2%以下であるので、その減収幅は取るに足らない。
それよりも相続人が増えるため、遺産は分割され富裕層の固定化を防ぐことができるというのである。

しかし、この尊敬される愛国者のアイデアはまさに敬意を払うべきものであるが、必ずしも彼の考えに賛成するわけではない。
というもの、多くの金銭を子孫に残すために婚姻を求めるというのは、日本人として恥ずべき行為である。
私の提案は純粋に、女性を愛したい、子供を育てたいという人間的な美徳に訴えるものである。
そもそも日本国は、女性を愛し、子供を大切にする文化である。

その証拠に日本国では、昔から様々な有徳の士が、将来のために子を残してもお金は残さないという意味の格言を残している。
明治の偉人、西郷隆盛の言葉「児孫のために美田を買わず」は有名である。これは子供に財産は残さないということである。
さらに西郷は「敬天愛人」を座右の銘にしたという。これは愛人を天のように敬いなさいということである。
このことからも西郷は、愛人をたくさん持ちつつも、財産は残さないという信念をもっていたのである。

昭和の初めの偉人、台湾総督府として有名な後藤新平は、亡くなる直前に次のような言葉を残したと伝えられる。
「金を残して死ぬ者は下だ。仕事を残して死ぬ者は中だ。子供を残して死ぬ者は上だ。」
この言葉からも、後藤新平は現在の日本の困難を見透かしていたかのようである。

話がかなり脱線してしまった。本題に戻る。私の提案の長所をみると、明らかに最も重要視されるべき点が数多く存在する。

第1に、すでに見てきたように、新たに国家の財源を使うことなく少子化を防止することができることである。

第2に、そもそも富裕層の子供が増えるのであるから子供の貧困が生じない。そのため貧困の連鎖が断ち切れることである。

第3に、富裕層に新たに課税することなく、富裕層の資金を市場に循環させることができる。その結果、経済格差の改善に効果がある。
不平等を改善するために、富裕層だけに重税を課すのは、税の公平性の観点からいって難しい問題である。ピケティは、富裕層に80%課税するべきと提案したが、そんなことをすれば、富裕層の資産が海外へ移転するだけで国家にとってマイナスの影響が大きいと言わざる得ない。パナマ文書等で既に明らかになったが、賢い富裕層は為替リスクを考慮しても、なお海外に資金を分散して課税を逃れている。

第4に、富裕層に多くの幸せを与えることができる。子供を育てるという活動は、生命体に刻まれた最も尊く幸せな行為である。

第5に、富裕層の優性遺伝子を、数多く残すことができる。移民や難民を受け入れると日本人の遺伝子が危機に貧するし、貧困の遺伝子を増産しても国家そのものが貧しくなってしまう。

第6に、お金持ちと結婚したいという、結婚願望のある多くの女性を救うことができる。そもそも富裕層の数が少数で限られているため、富裕層が、既婚者である場合は、女性がお金持ちと結婚できる確率が減少してしまう。だが、本提案では、資産の度合いに応じて婚姻が可能なため、結婚願望のある女性は、今まで以上にお金持ちと結婚できるチャンスが増えることになる。

この他にも多くの利点が挙げられるだろう。現在の日本の皇室は、ほぼ女系で男子系統が危機に瀕している。
医学の発達した現在では、子供が問題なく大人に成長することは至極当然である。しかし、突発的な事故や、未知の病気等が起こった場合は、もしかしたら、1,000年以上にわたる天皇家が断絶する可能性は捨てきれない。本提案が実現すれば、皇室の安定に利することも可能である。話を簡潔にするために、これ以上は省略する。

私には、この提案に対して異議申し立てがなされるなどと考えることができない。
多くの人々には、ぜひ次のことを認めていただきたい。一人の男性が、複数の女性と婚姻するということは、人類が過去にすでに綿々と行ってきた自然な行為である。現在でもいくつかの国家が合法として運用されている。
一人の男性が、一人の女性とのみ婚姻関係を維持するということは、一部の宗教的な倫理観だけであり、人類普遍の原理ではないということである。さらに現代では、すでに一部の国で、男性同士、女性同士の婚姻も可能となっている。これは法的な婚姻というものが、子供を産むという目的から逸脱したということである。これからは性別、婚姻というものが、多様性を持ち、「二人の愛情を意味する結婚」「子供を作るための結婚」等に進化していくだろう。そうなれば、そもそも「結婚」せずに法的に子供を作れるようになるだろう。

私自身について言えば、長年にわたって無益で無駄で非現実的な考えを提案することに疲れきってしまった。ついに人生を諦めかけた時に、幸いにもこれまでに述べた提案を思いついたのである。これは明らかに斬新で、現実味があるから、これこそ真に価値ある試みとも思えるところがある。費用はいらず、国家が個人の結婚観や労働観に干渉することなく完全に私人のレベルで実行できる。

私は、良心に賭けて、この提案に関して何ら利害関係が無いことを明言する。ただ日本国における公共的な利益を得るため、少子化を食い止め、貧富の不平等を解消し、富裕層に幸せを与えること以外に何ら関心をもっていない。私には、2000万円を超える資産がなく、したがって新たに婚姻することができない。

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